【活動報告】ERA設立記念シンポジウム報告


2018年2月27日

昨年12月13日、東京都内でERAとしては初の公開イベントとなる「ERA設立記念シンポジウム 〜芸能界に交錯する光と闇〜」を芸能関係者向けの第一部と一般向け第二部の二部構成で開催しました。シンポジウム当日の様子についてご報告させていただきます。

シンポジウム開演前はERAパートナーであるしほりさん、共同代表理事の向原栄大朗、安井飛鳥による前説を行われました。しほりさんからはニューヨークにおける芸能人の実情や日本との違いについて語られました。

そしてシンポジウム開演後はパートナーの桑原みずきさんがプロデュースするダンスチーム『ツルノヒトコエ』によるダンスパフォーマンスが行われました。これは企画段階の中で芸能人のためのシンポジウムなのだからエンタメ要素をふんだんに盛り込んだイベントにしようというコンセプトのもと桑原みずきさんの提案により実現しました。いきなりのプロのダンスパフォーマンスに驚かれた方も多いのではないでしょうか。

続いて、ERA共同代表理事らによる基調講演が行われました。

昼の部の基調講演ではERA共同代表理事の望月宣武から独占禁止法の観点からみた芸能界の問題点について解説がなされました。独占禁止法の趣旨や内容について一般向けにもわかりやすく解説をおこなったうえでタレントと事務所間の契約の中でタレントを不当な形で拘束することが独占禁止法上問題になりうるという見解が示されました。

望月の基調講演については動画にて公開を行っていますのでご参照ください。
https://www.youtube.com/watch?v=KO11vBmL2Jo

夜の部の基調講演ではパートナーの桑原みずきさん、ERA共同代表理事の佐藤大和、安井飛鳥に加えてゲストとして元SKE48の菅なな子さんをお招きしてセカンドキャリアをテーマとした対談形式での講演を行いました。桑原みずきさん、菅なな子さんはそれぞれ起業、進学という第二の途を歩まれていますが、そうした途を歩むことになった経緯や苦労についての体験談をお話いただきました。一方で、芸能人の中には不本意な形で引退を余儀なくされる方やメンタルヘルス上の悩みを抱えている方も少なくなく、そうした方々へのセカンドキャリア支援の視点も必要であることが強調されました。

続いてERA共同代表理事の安井からERAのこれまでの活動報告と今後に向けた活動予定の紹介を行いました。
ERAは、歩み始めたばかりの団体でありまだまだ業界全体の声を取り上げられているわけではないため、今後も様々な芸能当事者の方々の意見を取り上げていくこと、そしてより良い芸能界を目指していくためにも芸能に関係する方々と『対立』ではなく『恊働』を目指していきたいというERAの活動スタンスを改めてご説明させて頂きました。

続いて、本シンポジウム最大の目玉でもあるパネルディスカッションを行いました。
まずは、芸能界における問題構造をわかりやすく理解していただくために『若手タレントと中小芸能事務所間のトラブル』というテーマ設定で寸劇を行いました。
今回、シンポジウムで『芸能界を交錯する光と闇』の問題を取り上げるにあたって、タレント側の事情だけではなく芸能事務所側の事情について取り上げて公平公正な観点で問題点を整理して議論していくことを特に意識しました。

タレント側はいつまで経ってもデビューさせてもらえず、給料もほとんどもらえないことへ不満を抱えています。若手タレントがその拘束時間に比して僅かな給料しか貰えていないという実情は近年もメディア等で取り上げられ話題となりました。一方で芸能事務所側としても新人タレントをデビューさせるために様々な先行投資を行っており、タレントだけでなく多くの事務所従業員も支えていかなければいけないという事情を抱えているとうことはあまり表立って取り上げられることはありません。しかしながら、芸能界に交錯する問題はタレント、事務所のどちらかが正義でどちらかが悪というような単純構造で説明しきれるものではなく、芸能界全体が抱える構造的な問題であるといえるでしょう。私たちERAとしてもまずはそうした芸能界の問題構造を広く知ってもらう必要があると考えました。

パネルディスカッションでは、パートナーの今野悠夫さん、ERA共同代表理事佐藤大和の司会のもと、昼の部ではパートナーの桑原みずきさん、共同代表理事の向原栄大朗、河西邦剛、夜の部ではツルノヒトコエの桑原彩音さん、望月宣武、河西邦剛でタレント側、芸能事務所側それぞれの観点からディスカッションを行いました。
タレントの移籍禁止、芸名の続用禁止条項の有効性の問題から恋愛や不倫といったスキャンダル問題等、昨今ニュースで話題となった芸能人に関する様々な法律問題について日頃の相談や裁判例等を参考にしながら活発な議論が行われました。
議論の最後に共同代表理事の佐藤からここ数年で芸能界をめぐる事情に変化が生じており芸能界全体の進化が求められているということが強調されました。

パネルディスカッション後は再びツルノヒトコエによるダンスパフォーマンスが行われました。定番のダンスミュージックで再び会場全体が盛り上がりました。ダンスパフォーマンスの幕間ではツルノヒトコエメンバーとオタク弁護士でもある河西と安井を交えて、ツルノヒトコエメンバーが日頃抱える素朴な悩みに関するトークセッションが行われました。

最後にERA共同代表理事、パートナー全員がステージ上に揃い踏みシンポジウムの感想と今後への意気込みを述べてシンポジウムは閉会となりました。

シンポジウムでは昼夜公演あわせて100名以上の方にご来場頂けました。

以下参加いただいた方からの感想コメントを一部抜粋で照会させて頂きます。

・普段、芸能活動していてなかなか触れることのできない法律の話を面白かった。
・芸能人の権利についてとても考えさせられました。
・パフォーマンスや劇などもありとてもわかりやすかった。
・芸能界について知ることができてよかった。
・法律家が中心となった団体であるにも関わらずエンターテイメント性がちゃんとイベントとして取り入れられていて面白かった。

また本シンポジウム開催にあたっては登壇者の他にも裏方スタッフとして多くの芸能関係者の方々にご協力頂きました。本シンポジウムにご来場、ご協力頂いた皆さまに改めて御礼申し上げます。

今回のような形でのシンポジウムは私たちとしても初の試みでありERAのメンバー間でも開催にあたっては何度も議論を重ね合いました。シンポジウムを通じてERAメンバー全員がエンターテイメントの魅力、可能性を感じることができました。
今後もERAとしてはより良い芸能界を目指して定期的な公開イベントを開催していきたいと考えています。今後共私達の活動についてご理解ご支援の程どうかよろしくお願いします。