【コラム】『芸事の人間もしっかりしていいんだぜ』今野悠夫パートナー


2017年7月21日

ノーギャラとはマイナスギャラ

ノーギャラとはマイナスギャラ 記者会見を終えて周りの方々からいただいたお言葉から考えると、役者が役者、芸能における問題を提起する事はそれ自体をタブー視される風潮があるなと感じました。 あの場でも言わせてもらいましたが僕のERAを通じて発信したい事はあくまで

『芸事の人間もしっかりしていいんだぜ』です。

演者にしっかりされると困る人が沢山いるのも事実だと思います。でもしっかりしないで最も困るのは自分達演者なのです。

では、しっかりするとはどういう事なのでしょうか。

芝居をするにあたっての環境作りが第一かと思います。 環境としての第一歩はお金の話です。 劇場公開、つまり映画館で上映される映画の主要なキャラクターをやる時でさえギャラが全く無い事が多々あるというのを皆様はご存知でしょうか?

所謂ノーギャラ、僕は厳密にはノーギャラではなく、マイナスギャラであると思っています。 交通費、飲食代、衣装を自分達で用意する。これらは分かりやすく支払うお金としてマイナスが発生します。 アルバイトをしていたらその日の給料を考えた時にその撮影をした分だけ稼ぎが少なくなるというマイナスが出ます。つまりこういったもの全て含めるとマイナスギャラとなる訳です。 作品を世に出すという事で自分の宣伝費だと考える時はもちろんあります。

ですが、それはその広がり(公開される規模や扱い)にまで注視をさせてくれる事が大前提かと思います。ところがそこに口を出す事は役者の仕事の範疇を超えている為に悪だとされる傾向が強くあるんです。

自身のお金を使い、制作費の一部を負担したらそれはその作品において出資者という扱いになると思います。 僕達は役者としてだけではなく出資者としてもその場所に立っているのにも関わらず口を出す事を許されない。 僕は作品に参加する際、自分の意見や芝居、またはどういう戦略でお客様を呼ぶかなど自論を伝え実践します。それはその作品を良くする事が自分のキャリアに繋げる役者として当然やらなければならない事、もう1つは出資者、自分の宣伝として参加している以上作品の広がりは気にしなくてはならないからです。 もちろん大きな作品ではこれらはありません。それぞれのプロがプロの仕事を全うするからです。それら全てに支払う対価も計算に入れて作品のバジェットを考えます。

しかし、小さい現場では人件費などを計上せずに制作費を打ち出す事があります。 かと言ってその作品が黒字になった時に再分配をする訳でもありません

都合の良い場所でプロの仕草を振りかざし都合の悪い場所ではまだアマチュアだから、規模が小さいからという事をを振りかざしてきます。

僕は何も全てにおいて金勘定をしろと言っている訳ではありません。プラスマイナス、お金に現れない損得勘定をもしっかり精査する努力をしましょうって事です。その上で納得して受けたらそれは仕事としてパフォーマンスをしっかり発揮してその作品、

お客様の為に燃え尽きようぜ

って事です。

芸事はその性質上ハート、芸術性といったビジネスとは対になりやすい場所を大切にしなければなりません。 なのでどうしても金銭の事はタブー視される傾向が強くあります。僕自身ゴッホの一生まで引用されてしっかりしようとした意見を押さえ込まれた事があるくらいです。

記者会見でもお伝えしましたが全てはバランスかと思います。 バランスを使い手の得によって欠かせたい人がいる以上こちらのバランス能力向上は必須であると考えます。

パートナー 今野 悠夫