【声明】芸能人の不祥事等によるドラマ・映画等の放送、CD等発売の自粛について


2019年3月18日

私たちは、テレビ、映画、音楽等のエンターテインメントに関わる各関係者に対して、ドラマ・映画の放送・放映自粛、及びCDの発売自粛について、冷静かつ慎重な対応をすることを求めます。

近年、芸能人が不祥事等を起こした場合、その芸能人が出演している番組・ドラマ・映画等の放送及びCD等の発売を自粛する傾向が強まっております。

確かにCMに関しては、クライアント企業のイメージや商品に影響があることは否定することはできません。実際、広告出演契約には、芸能人の「イメージ保持」に関する条項があるのが一般であり、契約上、芸能人は「イメージの保持」を強く求められています。

しかし、近年の各自粛の流れは、芸能人の不祥事やその影響力を具体的に吟味することなく、過度に反応し、全てを自粛・削除する傾向が強まっております。そして、この傾向に対しては、多くのクリエイターたちが「作品そのものには罪がない」として、過度な自粛に異議を唱えています。

そもそも、著作権法その他テレビ、映画に関する関連法規においても、出演者が逮捕され仮に有罪が確定したとしても、出演媒体については法的には何ら問題なく放送・放映することが可能です。

そして、放送や発売等を過度に自粛した場合、その制作等に関わってきた方々の努力が徒労に帰すだけではなく、それを楽しみにしていた方々の期待や楽しみも奪われてしまう形になり、損害もまた徒に増えてしまい、新たな法的紛争を生み出す結果になります。

また、芸能人の不祥事が刑事事件になる場合には、法律上、有罪の判決を受けるまでは「無罪」と推定され、そのように取り扱われなければなりません(推定無罪の原則)。

そのため、私たちは、改めてテレビ、映画、音楽等のエンターテインメントに関わる各関係者に対して、ドラマ・映画の放送自粛、及びCD発売の過度な自粛について、冷静かつ慎重な対応をすることを求めます。

2019年(平成31年)3月18日
日本エンターテイナーライツ協会 共同代表理事一同