【声明】山口真帆さんの卒業表明について
【声明】山口真帆さんの卒業表明について
私たちは、「山口真帆さんの卒業表明」について、以下のとおり、声明を発表いたします。
現在に至るまで、芸能人やアイドルの人権や権利については、芸能界においてタブー視され、軽んじられてきた傾向があります。その原因の一つには、アイドル・芸能人の「働き方」の特殊性があり、芸能人の法的地位が曖昧であることもあります。今回の一件は、今までアイドルの権利が軽視されてきた結果の一つですし、氷山の一角に過ぎません。実際、契約上は労働者ではないという前提のもと労働者としての最低限の権利も保障されていなかったり、アイドル特有の様々なハラスメントを受けたり、芸能事務所を辞められなかったりと、人権侵害といえるような事例も少なくありません。
日本の芸能界では、芸能活動を通常の労働業務と区別し、特別扱いしてきた背景から、タレントと芸能事務所は雇用契約ではなく、マネジメント契約を締結するのが慣行になっています。今回の芸能事務所と山口真帆さんとの契約も、形式上はマネジメント契約になっていると思われます。
しかしながら、山口真帆さんの活動の実態からすれば、両者の法律関係は雇用類似の契約と考えられます。実際に数多くの裁判例においても、「アイドルは労働者か否か」が争われたほんどの事例において、裁判所はアイドルを労働基準法や労働契約法上の労働者と認定しています。
そのため、芸能事務所は、アイドルに対して安全配慮義務を負うとともに、違法な退職強要は許されません。今回の一件においても、山口真帆さんに対して違法な退職強要は無かったのか、ご本人の納得の上での卒業(退職)だったのか、ファンや多くの方々が懸念するのももっともです。
私たちは、芸能人やアイドル、タレントの権利を守るために戦っていますが、地方アイドル・ご当地アイドルも含めて、芸能人の権利保護はまだまだ不十分であると考えております。
行政は、芸能人の権利を守るために早急に実態調査をし、昨今のアイドル業界での実態を把握するべきです。また同時に、私たちは、芸能人の権利を守るための法整備が求められていると考えます。
2019年(平成31年)4月25日
日本エンターテイナーライツ協会 共同代表理事一同