【声明】NGT48第三者委員会調査報告書について(2)
【声明】NGT48第三者委員会調査報告書について
平成31年3月22日付け声明に引き続き、私たちは、「NGT48第三者委員会調査報告書」(以下「本件報告書」といいます。)について、以下のとおり、声明を発表いたします。
1.本件報告書の調査の不十分性
本件報告書では、調査の範囲について、本件事件の「事実関係、会社関係者等の関与の有無及び程度、直接ないし間接の発生原因等の調査」を対象としていますが、私たちは、今後、本件事件と同様に運営会社とアイドルとの間の信頼関係を損なわせるような事態を起こさないために、調査の範囲は上記に加えて、運営会社である株式会社AKSと山口真帆氏との本件事件後の話し合い、なぜ山口真帆氏がSHOWROOMやTwitterにて発信せざるを得なくなったのか、山口真帆氏がなぜ謝罪をしなければならなかったのかなどにまで踏み込んで、具体的かつ詳細な調査をすべきだったと考えます。
また、事実確認が何よりも大切な本件事件の調査において、本件事件の経緯についても、客観的な証拠に乏しく、被害者が山口真帆氏しかいないという中、調査の限界はあるものの、加害者らや各メンバーに対する調査としては明らかに不十分であり、株式会社AKS側と加害者らの会話やメンバーとの私的やりとり等の証拠も調査(フォレンジック調査)をするべきだったと考えております。そして、本件報告書では、何らかの理由があるかもしれませんが、加害者らの不起訴理由についても踏み込んだ調査を実施したようには窺えません。
2.山口真帆氏に対する配慮の欠如
本件報告書では、加害者らとメンバーの関与に関して、加害者らと共謀があったことを示す証拠が確認できないことをもって、本件事件に関与したメンバーがいるとは認められなかった旨、断定しています。
しかしながら、被害者である山口真帆氏の対外的発言と本件報告書との間では、その内容が相反するところ、上記1のとおり、本件報告書の作成に際しての調査は明らかに不十分であることを考えると、山口真帆氏の主張を一方的に否定するような本件報告書の内容では、山口真帆氏の不安を払拭しきれたとはいえません。このまま本件を終息させるとすれば、山口真帆氏の今後の活動にも悪影響を及ぼすことは間違いございません。
すなわち、本件報告書作成に際しての調査は、山口真帆氏への配慮が著しく欠けたものと評価せざるを得ません。
3.本件報告書の改善策の提言の不十分性
私たちは、本件報告書では、本件事件の発生原因を踏まえた今後の改善策の提言について、前回の平成31年3月22日付けプレスリリースでも記載したとおり、表面的な指摘かつ一般的に指摘できる範囲に留まっており、踏み込まれた検討が一切されていないと考えております。具体的には、私たちは、マネージャーの養成についても、安易にマネージャー同行等を指摘するだけではなく、現在のマネージャーの労働状況が過重労働になっていなかったのか、人材不足ではなかったのかなどについても触れるべきでした。また、握手会での解決策として、例えば18歳未満の年少者のアイドルについて、より安全面に配慮した方法で実施するなど、さまざまな改善策も検討すべきであると考えております。そして、支配人等の責任だけではなく、運営会社の取締役会に対してどのような報告があったのか、取締役会においてどのような協議が行われたのかなど、取締役会の責任と役割についても追及すべきだったと考えております。
そもそも、日弁連の「第三者委員会ガイドライン」によると、第三者委員会は、提言を行うに際しては、企業等が実行する具体的な施策の骨格となるべき「基本的な考え方」を示すことが必要である旨を述べていますが、本件報告書ではその点が欠落している点も問題です。
以上を踏まえたうえで、第三者委員会においては、運営会社である株式会社AKSに対して具体的な提言をして頂きたかったと考えます。
4.まとめ
私たちは、今回の本件報告書は、上記の諸点から不十分であったと考えておりますので、運営会社である株式会社AKSに対して、本件についてこのまま調査を終わらせることなく、調査の範囲を広げたうえで、適切かつ十分な追加調査をするよう強く求めます。
2019年(平成31年)3月24日
日本エンターテイナーライツ協会 共同代表理事一同