【声明】逮捕時の実名報道について


2017年7月2日

【声明】逮捕時の実名報道について

私たちは、今回の田中聖さんの不起訴処分の報道を受けて、各報道機関に対し、有罪の判決を受けていない逮捕段階において、『犯人』と決めつけるかのような報道について、慎重であることを今後も継続して求めます。

法律上は、有罪の判決を受けるまでは「無罪」と推定され、そのように取り扱われなければなりません(推定無罪の原則)。この考え方は、報道においても変わらないと考えます。逮捕には緊急性が重視され、裁判手続ほど細かく審査するわけではないことからも、「逮捕=有罪」であることを決めつけるような報道は避けなければなりません。 ことに、裁判にかけられていない段階にあっては、警察・検察による捜査が進むことにより初めて浮かび上がる事情もあり、そういった事情を多面的に考慮し、終局的には、裁判にかけない(かけることができない)、すなわち、不起訴処分、という判断がされる場合も多々あるのです。

今回、田中さんは「犯行事実を認めるに足りる十分な証拠が得られなかった」(嫌疑不十分)として不起訴処分になりましたが、当初から、メディアは、田中さんを犯人と決めつけ、様々な報道を繰り返しました。
このような報道のなかは、正当な報道の範囲を超え、憶測に基づく報道や、事件内容と直接関係のない報道、名誉毀損的な内容も多くありました。

マスコミの報道は、その内容一つで、その人や家族、関係者の人生を大きく変えてしまうほどの力があります。
不起訴処分になったことが報道されても、今後の田中聖さんの活動に大きな影響を与えるでしょうし、一度つけられてしまったネガティブなイメージは、簡単に払拭できません。 この件に限らず、私たちは、各報道機関に対し、事件報道にあたっては、慎重な報道を求めます。 (なお付言いたしますに、我々市民も、SNSで情報を簡単に拡散できる時代です。したがいまして、「逮捕」の一言で大騒ぎすることなく、その情報の取り扱いには慎重である必要があると考えます。)

2017年(平成29年)7月2日 日本エンターテイナーライツ協会 共同代表理事一同