【お知らせ】地下アイドル権利擁護プロジェクト発足


2018年6月1日

プロジェクト概要

 私達ERAでは昨年4月の発足以来、芸能人の地位向上を目指して勉強会やシンポジウムの開催、公正取引委員会の「人材と競争政策に関する検討会」への意見書提出等に取り組んできました。

私達ERA代表弁護士らが日頃取り扱う芸能人の相談の中でも特に多いのが若年芸能人の相談でありその中でも特に多いのが『地下アイドル』と呼ばれる領域で活躍されている方々の相談です。

『地下アイドル』とはメディア等への露出をせずにライブハウスや地方でのライブ活動等を中心に取り組むインディーズアイドルの総称です。歴史的には1990年代の頃からみられた形態でしたが近年のアイドル活動の多様化によりこうした『地下アイドル』の活動が拡大、活発化しています。
『地下アイドル』は、アイドルの多様な活動の機会を生み出すことで芸能を夢見る子どもや若者が参入しやすくなった反面、様々なトラブルや問題が指摘されるようにもなっています。私達が把握している代表的な問題点は以下のとおりです。

問題点1

 未成年者ゆえの未熟性
『地下アイドル』の多くは未だ中高生年齢の未成年者です。そして未成年者は社会常識等の知識も十分ではなく、判断能力も未成熟です。甘さにつけこんだ形で、成人の芸能人と比して不当に不利な内容の契約を結ばされる危険があります。
通常であれば親権者が契約の適否を判断することになりますが、芸能契約はもともと高度に専門的であり大人であっても判断が容易ではないこと、また芸能という性質上未成年者自身が親にも十分な相談ができないで孤立しがちであり、こうした危険をより強めています。

問題点2

 未成年者としての健全な成長発達権、学習権の保障
中高生の年齢は未だ成長発達の過程にあります。それに対して芸能活動は時として過酷なものであり心身に与える負担は大きいです。過酷な芸能活動の中で心身の健康を概してしまい不本意な形で芸能活動を退くことになったり、引退後のセカンドキャリアへ悪影響が生じたりすることが懸念されます。
また、中高生年齢においては将来を見据え学業との両立が求められます。義務教育を受ける機会が保証されなければならないのは言うまでもなく、高等教育や大学進学の機会についても保障される必要があります。
芸能事務所側には芸能活動と心身の健康や学習権保障との両立について一定の配慮が求められるでしょう。

問題点3

 パワハラ、セクハラ、性被害
上記の未成年者ゆえの未熟さにつけこんだ形でアイドルとの関係で支配的、洗脳的な関係をつくりに不当な行為を共用したり、セクハラ行為が行われるようなトラブルがあります。中には児童福祉法等の法令にも抵触しうるような深刻な性被害事例も確認されています。
こうしたパワハラ、セクハラや性被害は心身への深刻な悪影響を生じさせ、数年に及ぶ後遺症に来るしんだり、最悪の場合には命を断つような事態にも発展しかねません。

 

私達は地下アイドルは、芸能人の中でも特に権利侵害が生じる危険が高く権利擁護の必要性が高い社会問題のひとつであると考えました。また、地下アイドルの問題については契約内容の適正化だけで解決することが難しく、法律面だけでなく医療や福祉、教育にもまたがった横断的かつ広範な取組が必要と考え『地下アイドル権利擁護プロジェクト』を立ち上げました。

プロジェクトの詳細については今後、順次、公開していく予定です。