【活動報告】記者会見のレポート


2017年6月27日

日本エンターテイナーライツ協会で、設立発足報告の記者会見を行いました。

2017年6月9日、TKP新橋内幸町ビジネスセンター ホール611(東京・港区)において、日本エンターテイナーライツ協会の設立発足報告の記者会見を行いました。

この日、登壇したのは、共同代表理事の、
・望月宣武(日本羅針盤法律事務所・弁護士・東京弁護士会所属)
・向原栄大朗(向原総合法律事務所・弁護士・福岡県弁護士会所属)
・安井飛鳥(法律事務所くらふと・弁護士・社会福祉士・精神保健福祉士・千葉県弁護士会所属)
・河西邦剛(レイ法律事務所・弁護士・東京弁護士会所属)
・佐藤大和(レイ法律事務所・弁護士・東京弁護士会所属)
そして、パートナーの、 ・しほり(音楽家・株式会社メディック・アーツ代表取締役) ・今野悠夫(俳優・俳優互助団体09代表) ・桑原みずき(女優・ダンサー・ツルノヒトコエ) の8名でした。

■3つの柱で芸能人を支援していく
司会の望月弁護士からの挨拶、そして登壇者の紹介のあと、佐藤弁護士が「芸能事件を担当していると、芸能人側の知識不足、経験不足、社会常識欠如、といったことを多く感じます。そのため、芸能人が学べる場を設けたいと思いました」と協会設立の経緯について語りました。また、協会に対して誤解がないようにと、「芸能事務所と協会が対立構造を取りたい、というわけではありません。協会は、あくまで芸能人に対して法律の知識を支援することが目的です」と協会の立場を強調しました。 協会には3つの柱があります。1.芸能人の権利を守る。 2.芸能人のセカンドキャリアの支援。 3.芸能人の地位の向上。 これら3つの柱を中心に、現役で活躍しているアイドル歌手、お笑い芸能人から、キャスター、スポーツ選手まで。また、これから芸能界に飛び込もうとしている方々、芸能界を引退しようと考えている方々にまで展開していきます。 「芸能界で活躍される方々が笑顔で頑張れて、自分たちの力を発揮できる場を作るために協会はある、と思っています。今後は、日本の芸能界は世界に負けてない、世界で戦える、ということを示していきたいと考えています」と佐藤弁護士が語りました。

1.芸能人の権利を守る。
協会の3つの柱のうち、「芸能人の権利を守る」に対して、パートナーのしほりは、「若い子は社会経験もあまりなく、契約書のことすらわかっていません。社会経験はとても必要だと感じています。そんなことを教えられるセーフティーネットや知識を知る機会や場所があればいいな、と思っていたところに、この協会との出会いがありました」と語りました。 また、安井弁護士は「芸能人の方は華やかで恵まれた地位にいるように見えますが、実は非常に問題を抱え込みやすく、他になかなか相談することができないのではないかと感じていました。 協会としては芸能人の方々がトラブルを未然に防止できるように、契約や一般常識を勉強し、メンタルヘルスケアやコミュニケーション能力の技術を身に付けて頂くことが重要だと考えています」とし、芸能人向け勉強会の実施の計画を告げ、「芸能人の方々のセーフティーネットとして機能できるような相談会を今後、実施していきたいと考えています」と語りました。そして、今後、芸能人からの相談を受け付ける体制を整えてくと報告しました。さらに、芸能人の権利を守るために、問題とみられる報道やトラブルに関しては声明文という形で問題意識を発表し、広く社会に向けて、芸能人の権利擁護に対する啓発も行っていくと語りました。

2.芸能人のセカンドキャリアの支援。
続いて、「芸能人のセカンドキャリアの支援」について、パートナーの桑原は、「芸能界に入ると、普通の仕事に就職するというのは、すごく難しい。芸能界でも引退後は就職という選択肢があるといいことだと思います。引退後、人を通じての紹介でしかツテがなくて、変なところに就職してしまうことを防げるように、就活支援をしてくれる、というのはいいなと思いました」と語りました。 また、向原弁護士は「芸能だけでは生活ができない、あるいは将来、別の道に進むことを考えている、という芸能人も少なからずいる、という話を聞いています。芸能人は知識不足で損をしていることが多い。法律のことをあまり知らないために、おかしな契約に巻き込まれる、ということがしばしば発生します。セカンドキャリアの支援を考えたとき、まず、過った方向に進まないことが重要です」とし、協会では 1.間違った道に行かないために、相談ができる窓口になる。 2.次の道を探っていくための道筋を作るために、企業とも連携し、就職支援も行っていく。3.芸能人がセカンドキャリアとしてビジネスを展開するときの起業支援を行っていく。 という3つ取り組みを報告し、「将来、よりよく暮らしていける、という方向性を作って行ければいいなと考えています」と語りました。

3.芸能人の地位の向上。
最後に「芸能人の地位の向上」について、パートナーの今野は、「僕のところにはたくさんの『困った』という声が届きます。1つは、セクシャルな問題。身体の関係を強要されるといったことです。2つめは、金銭的なこと。ギャラが支払われないことなど。3つめに、暴力。私自身も被害にあいました。 このような問題が総て『業界のルール』で片付けられていまうのが現状です。やはり、芸能界の地位が少し低くなったのかなと感じます。私は『芸事をやっている人間だって、しっかりしていいんだぜ』と伝えたい。私も勉強したい。それは芸事にとって絶対によいことになると思います」と語りました。 また、河西弁護士は「タレントと芸能プロダクションの契約書は、タレントが不利な内容になっている契約書が多く使われています。具体的には契約期間や途中で解約する場合の違約金条項などです。契約書でタレントを縛る、ということが少なくありません」とし、芸能人の地位向上のために新たな統一契約書を作成することを報告しました。そして、「公平であり、対等な契約書を作成し、インターネット等で簡易に取得できるようなしておくということを目指しております」と語りました。また、「過去の裁判例等を立法化していく、ということを目指しています」と、統一契約書の作成と立法提案の2つの視点からの取り組みを進めることが報告されました。

その後、取材記者等からの活発な質疑応答があり、1時間にわたった日本エンターテイナーライツ協会の設立発足報告の記者会見は終了しました。 記者会見には多くの取材陣が参加し、協会への関心の高さがわかりました。