【コラム】『事務所の顧問弁護士が守ってくれない?』望月宣武弁護士


2017年6月7日

■事務所の顧問弁護士が守ってくれない?

望月宣武弁護士 共同代表理事の弁護士の望月宣武です。普段は、芸能関係だけでなく、「ひきこもり」の方の支援など、福祉や医療分野も広く取り扱っています。 (参考:https://www.bengo4.com/c_8/n_6120/

さて、日本エンターテイナーライツ協会(ERA)を設立したところ、「所属事務所の顧問弁護士がいるなら、その弁護士に相談すればいいじゃん」とか、「所属事務所ともめたときだけ頼ればいいんでしょ」、「事務所に所属していないフリーランス向けの団体でしょ」という声をいただきました。

しかし、所属事務所ともめている場面でなくても、事務所の顧問弁護士に相談すればよい、と割り切れないのが実情です。なぜなら、その顧問弁護士は、事務所という「組織」に雇われた弁護士であるため、組織の利益を優先せざるを得ないのです。目の前で相談をしている芸能人(個人)よりも、組織の利益のために動いてしまう。これを「利益相反」といいます。

例えば、薬物(大麻)の所持で捕まってしまった芸能人を想定しましょう。ご本人は「自分の物ではない」と否認しています。事務所の顧問弁護士が、さっそく警察署に会いに来てくれて、「本当はどうなの?」と聞きます。そのとき、安心して「実は…」と話した秘密の内容は、事務所の社長に報告が行くと思ったほうがよいでしょう。そして、弁護士は、芸能人(個人)をどう守るかよりも、事務所(組織)をどう守るかという視点で、社長にアドバイスするかもしれません。その秘密の話を根拠に、事務所から解雇されてしまう可能性もあります。

医師の世界では、患者からの医療過誤の損害賠償請求に対応するため、病院は賠償責任保険に加入するのが普通ですが、病院に勤めている医師も、個人的に賠償責任保険に入ることが多くなってきました。患者から病院が訴えられたとき、病院が医師をさらに訴えることがあるからです。保険に入っておくと、交渉から訴訟まで、弁護士が対応してくれます。このように、組織に所属する個人であっても、自分自身を完全に守るためには、自分で弁護士を用意しなければならない時代になって来ました。

日本エンターテイナーライツ協会は、事務所に所属する芸能人であって、事務所と敵対関係にあるような事案でなくても、芸能人の側に立つ団体です。今後の活動にご注目ください。

共同代表理事 弁護士 望月宣武